「鯉のぼり」に学ぶ

近所の山の中腹にある「徳願寺」に、今年も大きな「鯉のぼり」が飾られました。ここは静岡市街と安倍川、駿河湾を見下ろせる場所で、美しい富士山も眺めることが出来ます。

 

鯉のぼりを観察していると、風に揺られて優雅に泳いでいますが、口から尾びれの先まで自由自在に動いています。「風」が胴体を通り、尾ひれに抜けていく中で、横風も受けて、生き物のように体をくねったり、捻って泳いでいます。

布一枚でできている鯉のぼりには、どこにも硬さや詰まりがなく、ゆったりとした空気の流れに身を任せ、川を泳ぐが如くに存在しています。

 

人間のからだを観ると「筋肉」は収縮することが仕事ですが、使わないときは自在に伸びていることが自然です。

収縮した筋肉が何らかの原因で弛まず、首や肩が凝ったり、腰が張った痛みは、筋収縮を維持した状態とも云えます。

 

不快感や自覚のある人がストレッチに取り組み、緊張した筋肉を伸ばす体操に勤しんでいますが、効果のある方と効果のない方の違いはどこにあるのでしょうか?

ストレッチにおける外見のフォームは大切ですが、眼に見えぬ内面の動きに意識を持っていくことが大切です。硬くなっている筋肉が「脱力」できれば、弛んだ柔らかい状態に戻ることができる筈です。

 

ポイントは「呼吸」と脱力するという「意識」です。

 

「脱力」するということは、目標となる筋肉に「力を抜く」という命令と、そこに息を吹き込んでいくイメージ動作が必要です。

難しさが伴い、容易に実践できないため、痛みや凝りが改善しにくいと思われがちです。

 

頭の思考が何物にも捉われず、ポカンとした状態で「脱力」を目指していく!不快感も痛みも「息」の流れに浮き、体内から消滅していくのです。

 

鯉のぼりの空気の流れは「荘子」の表現する「真人は踵で呼吸する…」という真理と一致するのでは…と想像を広げています。