信念と勇気の体現

原因の分からぬ「腰痛と股関節の痛み」でMさんが来院しました。

 

年商何十億円と云う化粧品製造会社で働くOLさんで、全国的にも名の知れた会社ですが、創業当時からの家族経営の体質が幅を利かせ、労働者としての「権利」が与えられないまま4年間以上、悩み続けて働いていました。

 

従業員150名の内、正社員が全体の2割弱で、他はパート職員で成り立っているそうです。

社内には労働組合の活動がなく、従業員には「有給休暇」が与えられず、 休むと欠勤扱いを受けていました。また「産休」という制度が運用されず、出産を控えた女性は、暗黙の了解の中「退職」していくことが習慣となっていました。

 

アットホームな会社の演出で、従業員の誕生日には自宅に豪華なケーキが届き、ボーナス時には商品券が配られ、売り上げが好調であれば、食事会が催されるという待遇を受けていました。

この会社の計らいに「有給や産休」など、従業員は権利を主張してはいけないという雰囲気が、社内に蔓延しているようです。

 

仕事仲間に有給の相談をすると、聞きつけた古参のパート職員は、会社の肩を持つ態度でMさんに接し、仲間はずれにされる気配を感じていました。

 

「これだけしてくれる会社なのだから、嫌なら貴女が辞めればいいじゃない…!」

 

会社に見切りをつけて退職していく、多くの有能な社員さんを見送ってきたMさんでしたが、我慢することに理不尽を感じ、一人で会社側と交渉していく腹を決め、具体的な行動に出ました。

労働基準監督署に実名で相談し、証拠となるものを揃えて提出、監督署が動きだし、会社側に公的な「指導」が入ったということでした。

 

会社側からMさんは「厄介者」とレッテルを貼られ、他の古参パートからは冷ややかな視線を感じながらも、応援してくれる従業員さんを味方に付け、今後も交渉を続けていくという、強い闘志がみなぎっています。

 

Mさんの腰痛と股関節の痛みの場合、筋肉には張りと緊張があり、股関節に可動制限が見られますが、対人関係から起こる情動が原因とみられ、背骨には弾力と「力」があり、腰が据わって、物事に真っ直ぐ集中し、忍耐していける「からだ」をしています。

 

逆境に負けず「使命感」を持って、自分の命を活かしていく姿に、力強い「生命の輝き」を感じました。

自分の命をどのように生きてゆくのか、自分の心をどのように使っていくのか、からだの内側から湧き出る「欲求」をしっかりと捉えています。

一人でも行動していくというその「勇気」に、周囲の方々も心を動かされる時が訪れることでしょう…。