Fさん(40代後半:男性)は四ヶ月程前から不眠が続き、精神内科に通院されております。
物心つく頃から集団生活の「規律とルール」を叩き込まれた経験をお持ちで、まじめで正直・正義感のあふれるタイプの男性です。
成人してから、行動の規範として世間の常識・社会の常識というものが頭にあり、職場や日常生活においても、他人は自分をどう見ているか?世間はどう見るか?人に迷惑を掛けていないか?などと常に気になります。
こんな行動ば恥だ・こんな女々しいことは出来ない・そんな常識はずれな事はやれない等、他人が考える常識の尺度を大きく越え、人の何十倍も強く意識しすぎるため、自分をがんじがらめに縛り、こころが自由ではありません。
自分自身に何か失敗があると、すぐに自分を責める方向にエネルギーが働き、また他人の常識はずれな行為に対しても、強い怒りを抱きます。
Fさんが気にしている「世間の常識」の大きさは、実は自分で作り出した妄想です。大事なことは、世間の目・人の評価などという考えから、離れることです。Fさんがこれから目指すべきものは、何事にも動かない「我」を確立していくことです。
頭で考えるのではなく、頭を抜いて空っぽにする訓練と、身体をより動かし、余分な妄想の浮かばない「からだ」を作ることに取り組んでおられます。
Fさんは、無意識に自分で創造した「妄想」をやっと自覚できるようになり、心の風邪から、回復に向かっております。
※このブログはFさんの了解を得て、掲載しております。